マエストロと破滅の迷宮(その6:再起・総力戦準備)
翌日、目を覚ましたマエストロは、すぐさま第三次DOOM侵攻作戦の立案にかかった。

『課題は主に戦略面にあり・・・か。』
兵士の質と量の両立。これを出来る限り短時間で騎士の負担を抑えつつ実現せねばならなかった。
死霊術を操る敵の多いDOOMへ侵攻では、兵士の選別が厳しく行われていた。打たれ弱い兵を多数揃えても、死霊術の範囲攻撃魔法で一掃されてしまう危険があるためだ。
しかし、ブリタニアに兵士は多かれど、技量と体力を備えた精鋭兵の比率は2割にも満たなかった。
この為、「精鋭限定」の徴兵は作戦時間の長大化と騎士の疲労の大幅な増大を招き、
前回作戦での混乱発生原因の一つともなった。
まして次回は、前回の2~3倍の動員数を目標としているのである。
輸送の為の物資についても問題を抱えていた。最低でも15往復分の金の骸骨が必要だった。
マエストロは、先の作戦直後に、キカ騎士(この世界有数の豪商でもある)から、骸骨10個分相当の赤骨の援助を取り付けていたが、まだ足りなかった。(最低15と述べたが、20は欲しいと考えていた。)

『また毒部屋に篭って1万本集めるのか・・・』
勿論、可能だろう。しかし、再挑戦はかなり先になってしまいそうだった。そして何より、・・・マエストロは反復作業に著しく弱かった。
『うぐぐぐぐ・・・』
『そうだ・・・とりあえず兵士の「質」確保の為の調査をせねばな。そうだそうだ。そうしよう!』
『出かけてくるぞ!!』

(逃げたか・・・)
雪辱はしたいが、しばらく毒部屋には行きたくない、
70歳にもなって、まだ「嫌な事は後回し」なマエストロが出て行ってしまったサンタンジェロに、
「失礼いたします。我が主、クーロン卿の使いにてまかりこしました。」


こんな事(各種兵士の体力・スキルの調査)や、


こんな事(精鋭兵の装備を全て破壊して、ベース抵抗調査。基礎抵抗に装備の抵抗を上乗せの模様)をして、
サディスティックに楽しんだ兵士に関する理解をさらに深めたマエストロ。帰城。

『ふむ・・・そうか、やはり精鋭兵の供給を増やすには、非情だがアレしかないか・・・。』
『おい、お前。この手紙をあの男へ届けるのだ。人目につかぬようにするのだ。』
『それでも精鋭兵は不足するやもしれぬ。準精鋭というべき兵も採用すべきだ。』
『こいつらは、なんとか使えそうだ・・・あとは』
『誰ぞあるか、各地の港へ使いせよ。もう一人、お前はバッカニアーズデンへこの書簡を。』

「マエストロ」

『なんだ?今、忙しいのだ。』

「お留守の間に、クローン卿の使者がこのようなものを・・・」
兵士が差し出したのは一片の証書であった。クーロン卿の署名と納入されるべき品物が記載されている。

『ほう、クーロン卿とな。なかなかお会いできぬが、ご健勝でいらっしゃ・・・こ!これは!!』

『赤骨・・・さ、三万本だと!?』
『ぬはははは・・・相変わらず極端なことがお好きでおられる。間違いなくご健勝のご様子だ。』

『しかし、これはつまりアレだな?一種の挑発。極端な兵力を整えて笑えることをして見せろと・・・』
『・・・ある意味追い込まれたね。私(笑)。』
DOOM地下1階、たまらず悲鳴をあげたのは、ヴィクトリアだ。

「ええ?まだあるの?いい加減にしてよー。」

運び込まれた4万本の赤骨。

「エエ? マダアルノ? イイカゲンニシテヨー。」
強欲鬼の腹から引きずり出された40個の金骸骨。

※金骸骨の再取得は召喚された神兵達の直接戦闘にて行われました。協力して下さった皆さんありがとう。

『よし、物資は整った。後は兵員徴募・輸送作戦の具体化だな。』
「マエストロ、お召しにより、まかりこしました」
執務室で机に向かうマエストロは、不意の呼びかけに振り返りもせずに答えた。

『来たか・・・』
もっとも、仮にマエストロが振り返ったところで、そこに訪問者の姿を見出すことはできない。

『”骨”よ。今回の仕事は「暗殺」だ。ただし数が多い。この条件に合うものを発見次第殺せ。』
手近な紙に「条件」を走り書きするマエストロ。どこから見ているのか、声が応える。
「ほお・・・兵士じゃないですか。ご自分の手勢を暗殺とはまた・・・」
『手勢なればこそよ。私が直接手を下すわけにはいかん。・・・精鋭兵確保のために必要な措置なのだ。』
「おエラい方というのも、難儀なものだ・・・」
『いいから黙って仕事し・・・、なんだ、もうおらんのか。』
骨の気配消失と入れ替わるように、兵士が入室してきた。

「マエストロ、各地の港およびバッカニアーズデンへの使者、帰参しました。」
「いずれも、無事に務めを果たしたとのことです。」

『よし、陣振れだ。第3次DOOM侵攻作戦を発令する!』
第3次DOOM侵攻作戦において、「兵力」とみなされ雇用されたのは下記の条件を満たすNPC達だった。
絶対条件は、予想される範囲攻撃に耐えうると期待される体力。
<精鋭兵:主力>

リングメイル装備一式(頭部のみチェイン)で固め木盾とブロードソード装備の「男性」兵士。
高ステータス、高スキルを兼備した最強のNPC兵士達である。
<準精鋭:精鋭の不足を補う補助兵力>

1、スタッドレザー装備一式(頭部のみ各種金属製防具)に、木盾・ウォーアックスか斧装備の「男性」兵士。
武器スキルに問題があるが、高ステータスで打たれ強い。

2、水兵(男性)、各地の港に滞在。防具を装備していないので低抵抗だが、高ステータス・高スキル。
3、盗賊(男性)、バッカニアーズデンの盗賊ギルドおよび各地に滞在。能力はほぼ水兵と同様。
上記に当てはまらないもののうち、不揃いな装備を身に着けた「雑兵」たちは単に無視されたが、
上記兵種の「女性」兵士たちは、遥かに過酷な運命に直面した。

配流あるいは殺害されたのである。

「調査の結果、兵士を出現ポイントから移動させる(死亡含む)と、」
「同じ装備タイプの兵士の男女いずれかが、ランダムに出現することが分かったのです。」
「つまり、男性兵士だけを選んで雇用・輸送していれば、いずれは女性兵士ばかりになり、」
「女性兵士を移動させれば、次には男性兵士が出現する可能性がでてくるのでございます。」
「そして「配流」より「暗殺」の方が、はるかに時間的コストが低いのです・・・。」

『苦渋の選択でありました・・・』

「ふ・・・『泣いて馬ショクを斬る』ですか、」
「それで自分が助かるなら、いくらでも『うれし涙』が出るというものでしょうな。」

『カルメンちゃんそれ・・・○英伝のパクリだね。ダメだよパクっちゃ・・・』
騎士たちは主に彼女らの配流を行い、粛清・暗殺は一部の騎士と”骨”が担った。
そして、この大粛清は、やはり、一定の成果をあげたのである。

多くの女性兵士たちの犠牲、騎士たちの多大な労力、20個の金骸骨を消費して、
ついに、騎士団は地底湖畔での布陣を完成させた。
(所有する金骸骨は40あったが、作戦時間や騎士の負担等を踏まえて20往復が限界と判断した。)

兵士の総数実に300名弱(推定)。ほとんどを精鋭および準精鋭で固めた、
質量ともにこれまでの最大兵力を一気に数倍に拡大させた大兵力となった。
すくなくともこの時点での、騎士団の動員できる最大戦力を全て注ぎ込んだ規模であるといえる。

『それでは始めるとするか』
低く告げたマエストロだったが、高鳴る自らの鼓動音が、くっきりと耳に届いていた。

『課題は主に戦略面にあり・・・か。』
兵士の質と量の両立。これを出来る限り短時間で騎士の負担を抑えつつ実現せねばならなかった。
死霊術を操る敵の多いDOOMへ侵攻では、兵士の選別が厳しく行われていた。打たれ弱い兵を多数揃えても、死霊術の範囲攻撃魔法で一掃されてしまう危険があるためだ。
しかし、ブリタニアに兵士は多かれど、技量と体力を備えた精鋭兵の比率は2割にも満たなかった。
この為、「精鋭限定」の徴兵は作戦時間の長大化と騎士の疲労の大幅な増大を招き、
前回作戦での混乱発生原因の一つともなった。
まして次回は、前回の2~3倍の動員数を目標としているのである。
輸送の為の物資についても問題を抱えていた。最低でも15往復分の金の骸骨が必要だった。
マエストロは、先の作戦直後に、キカ騎士(この世界有数の豪商でもある)から、骸骨10個分相当の赤骨の援助を取り付けていたが、まだ足りなかった。(最低15と述べたが、20は欲しいと考えていた。)

『また毒部屋に篭って1万本集めるのか・・・』
勿論、可能だろう。しかし、再挑戦はかなり先になってしまいそうだった。そして何より、・・・マエストロは反復作業に著しく弱かった。
『うぐぐぐぐ・・・』
『そうだ・・・とりあえず兵士の「質」確保の為の調査をせねばな。そうだそうだ。そうしよう!』
『出かけてくるぞ!!』

(逃げたか・・・)
雪辱はしたいが、しばらく毒部屋には行きたくない、
70歳にもなって、まだ「嫌な事は後回し」なマエストロが出て行ってしまったサンタンジェロに、
「失礼いたします。我が主、クーロン卿の使いにてまかりこしました。」


こんな事(各種兵士の体力・スキルの調査)や、


こんな事(精鋭兵の装備を全て破壊して、ベース抵抗調査。基礎抵抗に装備の抵抗を上乗せの模様)をして、

『ふむ・・・そうか、やはり精鋭兵の供給を増やすには、非情だがアレしかないか・・・。』
『おい、お前。この手紙をあの男へ届けるのだ。人目につかぬようにするのだ。』
『それでも精鋭兵は不足するやもしれぬ。準精鋭というべき兵も採用すべきだ。』
『こいつらは、なんとか使えそうだ・・・あとは』
『誰ぞあるか、各地の港へ使いせよ。もう一人、お前はバッカニアーズデンへこの書簡を。』

「マエストロ」

『なんだ?今、忙しいのだ。』

「お留守の間に、クローン卿の使者がこのようなものを・・・」
兵士が差し出したのは一片の証書であった。クーロン卿の署名と納入されるべき品物が記載されている。

『ほう、クーロン卿とな。なかなかお会いできぬが、ご健勝でいらっしゃ・・・こ!これは!!』

『赤骨・・・さ、三万本だと!?』
『ぬはははは・・・相変わらず極端なことがお好きでおられる。間違いなくご健勝のご様子だ。』

『しかし、これはつまりアレだな?一種の挑発。極端な兵力を整えて笑えることをして見せろと・・・』
『・・・ある意味追い込まれたね。私(笑)。』
DOOM地下1階、たまらず悲鳴をあげたのは、ヴィクトリアだ。

「ええ?まだあるの?いい加減にしてよー。」

運び込まれた4万本の赤骨。

「エエ? マダアルノ? イイカゲンニシテヨー。」
強欲鬼の腹から引きずり出された40個の金骸骨。

※金骸骨の再取得は召喚された神兵達の直接戦闘にて行われました。協力して下さった皆さんありがとう。

『よし、物資は整った。後は兵員徴募・輸送作戦の具体化だな。』
「マエストロ、お召しにより、まかりこしました」
執務室で机に向かうマエストロは、不意の呼びかけに振り返りもせずに答えた。

『来たか・・・』
もっとも、仮にマエストロが振り返ったところで、そこに訪問者の姿を見出すことはできない。

『”骨”よ。今回の仕事は「暗殺」だ。ただし数が多い。この条件に合うものを発見次第殺せ。』
手近な紙に「条件」を走り書きするマエストロ。どこから見ているのか、声が応える。
「ほお・・・兵士じゃないですか。ご自分の手勢を暗殺とはまた・・・」
『手勢なればこそよ。私が直接手を下すわけにはいかん。・・・精鋭兵確保のために必要な措置なのだ。』
「おエラい方というのも、難儀なものだ・・・」
『いいから黙って仕事し・・・、なんだ、もうおらんのか。』
骨の気配消失と入れ替わるように、兵士が入室してきた。

「マエストロ、各地の港およびバッカニアーズデンへの使者、帰参しました。」
「いずれも、無事に務めを果たしたとのことです。」

『よし、陣振れだ。第3次DOOM侵攻作戦を発令する!』
第3次DOOM侵攻作戦において、「兵力」とみなされ雇用されたのは下記の条件を満たすNPC達だった。
絶対条件は、予想される範囲攻撃に耐えうると期待される体力。
<精鋭兵:主力>

リングメイル装備一式(頭部のみチェイン)で固め木盾とブロードソード装備の「男性」兵士。
高ステータス、高スキルを兼備した最強のNPC兵士達である。
<準精鋭:精鋭の不足を補う補助兵力>

1、スタッドレザー装備一式(頭部のみ各種金属製防具)に、木盾・ウォーアックスか斧装備の「男性」兵士。
武器スキルに問題があるが、高ステータスで打たれ強い。

2、水兵(男性)、各地の港に滞在。防具を装備していないので低抵抗だが、高ステータス・高スキル。
3、盗賊(男性)、バッカニアーズデンの盗賊ギルドおよび各地に滞在。能力はほぼ水兵と同様。
上記に当てはまらないもののうち、不揃いな装備を身に着けた「雑兵」たちは単に無視されたが、
上記兵種の「女性」兵士たちは、遥かに過酷な運命に直面した。

配流あるいは殺害されたのである。

「調査の結果、兵士を出現ポイントから移動させる(死亡含む)と、」
「同じ装備タイプの兵士の男女いずれかが、ランダムに出現することが分かったのです。」
「つまり、男性兵士だけを選んで雇用・輸送していれば、いずれは女性兵士ばかりになり、」
「女性兵士を移動させれば、次には男性兵士が出現する可能性がでてくるのでございます。」
「そして「配流」より「暗殺」の方が、はるかに時間的コストが低いのです・・・。」

『苦渋の選択でありました・・・』

「ふ・・・『泣いて馬ショクを斬る』ですか、」
「それで自分が助かるなら、いくらでも『うれし涙』が出るというものでしょうな。」

『カルメンちゃんそれ・・・○英伝のパクリだね。ダメだよパクっちゃ・・・』
騎士たちは主に彼女らの配流を行い、粛清・暗殺は一部の騎士と”骨”が担った。
そして、この大粛清は、やはり、一定の成果をあげたのである。

多くの女性兵士たちの犠牲、騎士たちの多大な労力、20個の金骸骨を消費して、
ついに、騎士団は地底湖畔での布陣を完成させた。
(所有する金骸骨は40あったが、作戦時間や騎士の負担等を踏まえて20往復が限界と判断した。)

兵士の総数実に300名弱(推定)。ほとんどを精鋭および準精鋭で固めた、
質量ともにこれまでの最大兵力を一気に数倍に拡大させた大兵力となった。
すくなくともこの時点での、騎士団の動員できる最大戦力を全て注ぎ込んだ規模であるといえる。

『それでは始めるとするか』
低く告げたマエストロだったが、高鳴る自らの鼓動音が、くっきりと耳に届いていた。



